著作権や肖像権などの権利を考える:Scratch3.0のプログラムで絵や図や写真や音を使うとき

Scratch3.0で絵や図や写真や音などを使うとき、著作権や肖像権などにどのように対処すべきかを考察します。

【目次】
1.基本:絵や図や写真や音などの使用:一般社会のルールで
2.例外:Scratchのエディターに組み込まれた絵や図や写真や音などの使用:自由に利用できる
3.自分が作った絵や図や写真や音などの使用:自由に利用できる
4.他の人が作った絵や図や写真や音などの使用:許された条件下で利用できる
4.1.作った人に利用許可を求める
4.2.利用条件を満たす
4.3.権利の所有者を探す
4.4.利用をあきらめる
5.プログラムの権利と絵や図や音や写真の権利
5.1.Scratchのプログラムの権利
5.2.絵や図や音や写真の権利の確認はあまりされていない
5.3.プログラムの権利と絵や図や音や写真の権利は別の権利
5.4.問題がある例
6.まとめ

1.基本:絵や図や写真や音などの使用:一般社会のルールで

基本的に、Scratchのプログラムの中で絵や図や写真や音などを使用するときは、一般社会のルールに従う必要があります。

2.例外:Scratchのエディターに組み込まれた絵や図や写真や音などの使用:自由に利用できる

ただし、 Scratchのエディターに組み込まれている絵や図や写真や音は例外で、 Scratch のプログラムの中で正しく利用するのであれば、それらを無料で誰でもいつでも制限なしに利用できます。

Scratchの組み込みのスプライトを選ぶページ

3.自分が作った絵や図や写真や音などの使用:自由に利用できる

もちろん、ご自分の発想で描いた絵や、ご自分で撮った写真(ただし、肖像権などを主張する方やものなどが写っていない写真)、ご自分で作曲した曲をご自分で演奏した音などを使って、 Scratchのプログラムを作ることは、一般社会のルール通りで問題ありません。

4.他の人が作った絵や図や写真や音などの使用:許された条件下で利用できる

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4.1.作った人に利用許可を求める

ご家族やお知り合い、さらには、それまで全く面識のなかった方などに、彼らが作成した絵や図や写真や音の利用許可を求めてOKが得られれば、それを使って Scratchのプログラムを作って公開することができます(これも、一般社会のルール通りです)。
言うまでもなく、利用許可が下りなければ、それを使うことはできません。

4.2.利用条件を満たす

他の人に権利がある絵や図や写真や音の利用許可には、お金の支払いなど、条件があることがあります。
こちらも言うまでもなく、利用許可に伴う条件を満たすことができなければ、それを使うことはできません。

4.3.権利の所有者を探す

また、使いたいなと思った絵や図や写真や音のデータが手の届くところにあったとしても、そもそも、誰が作ったのか、調べが付かないものもあります。
誰が作ったのかわからない場合は許可の取りようがないので、それを使うことはできません。

4.4.利用をあきらめる

使用にお金が必要だったり、誰が作ったものかがわからなかったりする絵や図や写真や音の使用は、あきらめることも検討する必要があります。

プログラムを作っているのがお子さまなら、おかあさまやおとうさまはお子さまに、あきらめる選択肢を選ばざるを得ない状況について、予め伝えておくと良いと思います。
(こういうことは、ご存知の通り、一般社会の権利関係に関するよくある状況です)

5.プログラムの権利と絵や図や音や写真の権利

5.1.Scratchのプログラムの権利

Scratchのプログラムの権利関係の話は、 Scratchコミュニティーサイトの[よくある質問(FAQ)]ページの[ライセンスと権限]の項目https://scratch.mit.edu/faq#permissions でご確認いただけます。

Scratchコミュニティーサイトの[ライセンスと権限]

以下、[ライセンスと権限]の一部の抜粋
<抜粋開始>***************
一度でもScratchで共有したプロジェクトは、 クリエイティブ・コモンズ表示—継承 ライセンスのもと、誰でも自由にダウンロード、リミックス、再利用できる
***************<抜粋終わり>

クリエイティブ・コモンズ表示—継承

ちなみに、 Scratchの用語の「共有」とは公開のこと、「プロジェクト」とはプログラムのこと、「リミックス」とはプログラムの改変のことです。

5.2.絵や図や音や写真の権利の確認はあまりされていない

Scratchは、開発当初、その対象を8歳から16歳としていました。
現在は、実際には、下は3歳くらいから、上は90歳以上の老若男女が利用していますが、やはり基本的には子どもが主な利用者です。
ここで、問題は、 Scratchは主に子どもが使っているので、公開されているプログラムで使われている絵や図や写真や音の権利関係の確認が、公開前にすべて確実に正しく行われたとは限らないことです。

5.3.プログラムの権利と絵や図や音や写真の権利は別の権利

Scratchのプログラムは、クリエイティブ・コモンズ表示—継承に則って、公開されたものは誰でも自由に改変したり、一部や全部を利用したりすることができるのですが、その中に権利関係の確認が済んでいない絵や図や音や写真が入っている可能性があるということです。
いくらクリエイティブ・コモンズ表示—継承に則っているから公開されたプログラムは誰でも自由に使えると言っても、その中の絵や図や音や写真の権利までは変えられず、プログラムの権利とは別の権利として個々の絵や図や音や写真にもそれぞれの権利が存在し続けます。

5.4.問題がある例

子供が使っていることが多いので、以下のような場合、すぐに訴訟を起こされるようなことは、まず、ないのではないかとは思いますが、まずい状態であることは確かです。

・XさんがプログラムAを作りました。
・プログラムAに権利関係が未確認の図が含まれていて、その図の権限を持つYさんはプログラムAによるその図の利用許可を求められておらず、また、求められても許諾したくありません。
・公開されたプログラムAをZさんが改変(リミックス)しました。

このとき、権利関係の確認なしに図を使ってプログラムAを作り公開したXさんだけでなく、プログラムAを改変したZさんも、ともに、Yさんの持つその図に対する権利を侵したことになります。

ただ、基本的には Scratchのプログラムの改変はOKなので、 Scratchコミュニティーサイト内のみにプログラムAの改変版が存在するだけなら、ZさんはXさんほど怒られないかもしれませんが…(この感想は、あくまで、想像の範囲を出ません。どうなるかは、Yさんのお心次第です)。

上記のような微妙な問題はしばしば発生しています。
つい忘れがちですが、権利関係には気を付けたいものです。

6.まとめ

権利関係にきちんと対応するのは大変ですが、こういう一般社会のルールも、 Scratchを使うことで子供に体験させることができると考え、絵や図や音や写真の使用に臆病になることなく、是非、親子で前向きに取り組んでいただければと思います。

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