Scratchは翻訳や音声合成、もちろん、音楽や図の描画もプログラミングできる!・・・拡張機能のカテゴリー

Scratchには、起動時に画面左の領域に見える、機能ごとに命令(ブロック)をまとめたカテゴリー([動き]、[見た目]など)以外にも、拡張機能と呼ばれるカテゴリー([音楽]、[ペン]、[音声合成]、[翻訳]など)があります。

今回は、このScratchの拡張機能の概要を説明します。

【目次】
1.基本機能と拡張機能とは
2.基本機能のカテゴリー
3.拡張機能のカテゴリー
3.1.拡張機能一覧を表示する
3.2.拡張機能の任意のカテゴリーをブロックパレット内に入れる
3.3.拡張機能の各カテゴリー機能概要

1.基本機能と拡張機能とは

ブロックとカテゴリー

子ども向けプログラミング言語Scratchは、ブロックと呼ばれる1つ1つの命令が、その名の通りでこぼこの形のブロックであることから、プログラミングはドラッグアンドドロップでブロックをつなげて行います。

このブロックは、カテゴリーごとに色分けされて、ブロックパレットと呼ばれるScratchのエディターの左側の領域に並べられていています。

例えば、オンラインエディター を起動した直後は、一番上のカテゴリーである[動き]カテゴリーのブロックの、最初のいくつかのブロックが表示されます。
下図はScratchのオンラインエディターの画面の図です。


上図で表示されている[動き]カテゴリーのブロックの個数は11個ですが、画面の解像度やエディターのズームの大きさなどによって表示される個数は変わります。

ちなみに[動き]カテゴリーのブロックは、青で統一されています。

ブロックパレット上から2つ目の[見た目]カテゴリーのマークをクリックすると、今度は[見た目]カテゴリーの最初のブロックがいくつか(下図の例では11個)表示されます。

ちなみに、[見た目]カテゴリーのブロックは青紫で統一されています。

基本機能と拡張機能

Scratchの基本機能は、Scratchのエディターを起動した直後に表示される、9個 (2020年6月現在) のカテゴリーの機能です。
Scratchの拡張機能は、Scratchのエディターを起動した直後に表示されない、11個 (2020年6月現在) のカテゴリーの機能です。

基本機能のカテゴリーはブロックパレットに常駐しているので、どのカテゴリーのブロックかがわかっていれば、使いたいブロックは、ブロックパレットのそのカテゴリーのマークをクリックすれば表示され、使用できます。
カテゴリーによっては、1画面に表示できる量より多いブロックを持っているものもあるので、最初に表示されるブロックの中で見当たらなければ、下にスクロールし残りのブロックを表示して探します。

一方、拡張機能のカテゴリーは、エディターを起動しただけでは、直接見たり触ったりできるところに置かれていません。
拡張機能のカテゴリーのブロックをプログラムで使用したいときは、まず、そのカテゴリーをブロックパレットに入れる操作を行います。

なお、その操作を一度行うと、エディターを終了するまでずっと、ブロックパレットの中にそのカテゴリーは入ったままになります。
エディターを一度終了すればその設定は解除されます。
再びエディターを起動すると、起動直後のブロックパレットの中のカテゴリーは、基本機能のカテゴリーだけの状態に戻っています。

2.基本機能のカテゴリー

基本機能は、ブロックパレット上から順に、[動き]、[見た目]、[音]、[イベント]、[制御]、[調べる]、[演算]、[変数]、[ブロック定義]の9個の各カテゴリーです。

3.拡張機能のカテゴリー

拡張機能は、[音楽]、[ペン]、[ビデオモーションセンサー]、[音声合成]、[翻訳]、[MakeyMakey]、[micro:bit]、[LEGO MINDSTOEMS EV3]、[LEGP BOOST]、[LEGO Education WeDo 2.0]、[Go Direct Force & Acceleration]の11個の各カテゴリーです。

前半の5個([音楽]、[ペン]、[ビデオモーションセンサー]、[音声合成]、[翻訳])については、それらのブロックを使ったプログラムを実行する環境にカメラやスピーカーが必要だったりします。

[音楽]と[音声合成]のカテゴリーのブロックはスピーカーが必要です。
[ビデオモーションセンサー]のカテゴリーのブロックは、それを使ったプログラムを実行するPCなどにカメラが内蔵されているか、カメラと接続されている必要があります。
といっても、最近のPCやタブレット、スマホなどはスピーカーもカメラもついているものがほとんどなので、多くの方が、これらの機能を使ったプログラムに挑戦できると思います。

後半の6個([MakeyMakey]、[micro:bit]、[LEGO MINDSTOEMS EV3]、[LEGP BOOST]、[LEGO Education WeDo 2.0]、[Go Direct Force & Acceleration]) は、市販の固有のハードウェアの制御を行うための拡張機能です。
これらのハードウェアを持っている方のための拡張機能になります。

3.1.拡張機能一覧を表示する

拡張機能一覧をエディターから操作して表示するには、エディター画面左下の、青い四角の中に白抜きのブロックのマークが2つ縦に並んで右上にプラスのマークが付いたボタンを、クリックします。

オンラインエディターの拡張機能一覧を表示するボタン
オンラインエディターの拡張機能一覧
オフラインエディター(Scratch Desktop)の拡張機能一覧を表示するボタン
オフラインエディターの拡張機能一覧

3.2.拡張機能の任意のカテゴリーをブロックパレット内に入れる

ブロックパレットに拡張機能のカテゴリーを入れるには、拡張機能の一覧のページを表示した状態で、入れたいカテゴリーをクリックします。
この方法は、オンラインエディターでもオフラインエディターでも同じです。

以下に、オンラインエディターの拡張機能の[音楽]カテゴリーを例に、拡張機能のカテゴリーをブロックパレットに入れる操作を説明します。

1.拡張機能の一覧のページで、[音楽]カテゴリーの大きな領域の中にマウスカーソルを合わせます。

2.[音楽]カテゴリーをクリックします。

すると、ブロックパレット一番下に[音楽]のカテゴリーが追加され、[音楽]カテゴリーのブロックも追加されました。

さらに、他の拡張機能のカテゴリーも同様に追加して利用することが可能です。

3.3.拡張機能の各カテゴリー機能概要

前半の5個のカテゴリー、すなわち、[音楽]、[ペン]、[ビデオモーションセンサー]、[音声合成]、[翻訳]カテゴリーについて、簡単にご紹介します。

拡張機能:[音楽]カテゴリー

[音楽]カテゴリーは、Scratch2.0までは、基本機能の[音]カテゴリーの一部として入っていたものを、Scratch3.0になってから、音楽の機能だけを1つのカテゴリーにまとめて、拡張機能のカテゴリーに移したものです。

[音楽]カテゴリーにあるブロックで、対象となるスプライトが音楽を奏でるプログラムを作ることができます。
18種類(2020年6月現在)のドラムの音から選んで指定した拍の長さ分鳴らしたり、楽器を21種類(2020年6月現在)の中から選んだり、今選択中の楽器で音を指定した拍の長さ分鳴らしたり、拍のテンポを決めたりできるブロックが用意されています。

拡張機能:[ペン]カテゴリー

[ペン]カテゴリーは、Scratch2.0までは、基本機能のカテゴリーの1つでした。Scratch3.0になってから、[ペン]カテゴリーは拡張機能に移動しました。

[ペン]カテゴリーでは、対象となるスプライトをペンにして、そのペン先の太さを変えたり、ペンで描く色を変えたりするブロックの他、対象となるスプライトそのものをスタンプにして、そのスプライトの現在の位置にそのスプライトの姿そのままの絵を貼り付けるブロックなどがあります。

拡張機能:[ビデオモーションセンサー]カテゴリー

[ビデオモーションセンサー]カテゴリーは、Scratch2.0までは、基本機能の[調べる]カテゴリーの一部として入っていた機能を、Scratch3.0になってから、ビデオモーションセンサーの機能だけを1つのカテゴリーにまとめて、少しブロックも増やして拡張機能のカテゴリーとして移したものです。

ビデオモーションセンサーとは、カメラが映している画像に変化があったとき、それを捉えて数値化するものです。

[ビデオモーションセンサー]カテゴリーのブロックを利用して作るプログラムの例では、帰宅した家族がカメラの前を通ったときに反応して伝言を伝えるプログラムや、泥棒が入ったときに音を出して驚かすプログラムなどがあります。

拡張機能:[音声合成]カテゴリー

[音声合成]カテゴリーは、Scratch3.0で新しく用意されたカテゴリーです。

[音声合成]カテゴリーでは、5種類(2020年6月現在)の声色から1つを選択するブロックと、23言語(2020年6月現在)から1つの言語を選ぶブロックと、入力した文を現在の設定の声色と言語でしゃべるブロックからなります。
面白いことに、声色の1つ[子猫]を選択した場合は、何語を選択していても、ワードの個数(スペースで区切られたかたまりの数)だけ「ミャー」を繰り返すだけです。

一方、[ねずみ]の声色は、ねずみっぽい声で、指定された言語を話します。

拡張機能:[翻訳]カテゴリー

[翻訳]カテゴリーも、Scratch3.0で新しく用意されたカテゴリーです。

[翻訳]カテゴリーは、Scratchを利用中のユーザーの使用言語を値に持つブロックと、Scratchを利用中のユーザーの使用言語で書かれた文/言葉を48か国語(2020年6月現在)の中から選択された1つの言語で翻訳した結果を値とするブロックの、2つのブロックで構成されるカテゴリーです。
翻訳そのものは、Google翻訳を使っています。

ちなみに、Scratchを利用中のユーザーが使用する言語の設定を変えるには、エディターの中から変える方法と、Scratchコミュニティーサイト のフッターから変える方法の2つがあります。これらの方法の詳細は、こちらのブログ記事「Scratch3.0をひらがなや他の国の言語で使う方法」をご参照ください。

スポンサーリンク

コメント

  1. […] 能のカテゴリーに関しては、IT企画研究所のブログ記事「Scratchは翻訳や音声合成、もちろん、音楽や図の描画もプログラミングできる!・・・拡張機能のカテゴリー」もご参照ください。 […]

  2. […] 能のカテゴリーに関しては、IT企画研究所のブログ記事「Scratchは翻訳や音声合成、もちろん、音楽や図の描画もプログラミングできる!・・・拡張機能のカテゴリー」もご参照ください。 […]

スポンサーリンク