そろばん:繰り上がり・繰り下がりがない足し算と引き算

そろばんでも筆算でも、四則演算は足し算引き算を組み合わせて答えを求めます。
この記事では、そろばんでの繰り上がり・繰り下がりのない足し算と引き算について説明します。

[目次]
1.そろばんの足し算と引き算の役割
2.そろばんの盤面が表す数値
3.そろばんと10進数
4.そろばんと5進数
5.そろばんの足し算引き算
5.1.そろばんの足し算引き算=そろばんの加減算
5.2.繰り上がり・繰り下がりのない足し算引き算=合成分解のない加減算
5.2.1.繰り上がりのない足し算=合成分解のない加算
5.2.2.繰り下がりのない引き算=合成分解のない減算
5.2.3.合成分解のない加減算の習得の目安
6.おまけ

1.そろばんの足し算と引き算の役割

小学校で習った筆算でお気づきのように、掛け算は主に足し算を、割り算は主に引き算を使って計算することができます。

そろばんで掛け算や割り算を計算するときも、筆算で計算するのと同じ原理で、掛け算は主に足し算を、割り算は主に引き算を使います。

このことは、筆算でもそろばんでも、四則演算の基本は足し算と引き算であることを意味します。

ちなみに、そろばんでは四則演算のことを加減乗除と呼ぶことが多いようです。

2.そろばんの盤面が表す数値

そろばんでは、一本の軸に刺さった5つの珠で、1桁分の数値を表します。

各桁の5つの玉は、梁(はり)の上に1つと梁の下に4つに分けられて配置されます。

梁の上の珠を5珠(「ごだま」と読みます)、梁の下の珠のそれぞれを1珠(「いちだま」と読みます)と言います。

ある桁の数値は、直接または間接的に梁にくっついている珠の値の合計で表します。

例えば、下の写真のそろばんの盤面が表す数値を確認してみます。

1059

  • 梁の上に珠がくっついておらず、下に1つだけ珠がくっついている場合、その桁の値は1です。
  • 梁の上下に1つも珠がくっついていない場合、その桁の値は0です。
  • 梁の上に珠がくっついていて、下に1つもくっついていない場合、その桁の値は5です。
  • 梁の上に珠がくっついていて、下に4つくっついている場合、その桁の値は9です。

写真のそろばんの盤面の9のある位置の定位点を1桁目とした場合、この盤面の値は「1059」となります。

3.そろばんと10進数

そろばんのある桁について、上下とも梁に珠が1つもくっついていない場合は0、上下とも梁に珠がすべてくっついている場合は9であり、そろばんは1桁で0~9の10種類の数値を表現できる10進数を扱う計算器ということがわかります。

4.そろばんと5進数

一方、そろばんの1つの桁で表現できる数は、5進数の原理を含んでいます。

  • 0は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついておらず、梁の下の珠(1珠)が1つも梁にくっついていません。
  • 1は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついておらず、梁の下の珠(1珠)が1つ梁にくっついています。
  • 2は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついておらず、梁の下の珠(1珠)が2つ梁にくっついています。
  • 3は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついておらず、梁の下の珠(1珠)が3つ梁にくっついています。
  • 4は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついておらず、梁の下の珠(1珠)が4つ梁にくっついています。
  • 5は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついていて、梁の下の珠(1珠)が1つも梁にくっついていません。
  • 6は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついていて、梁の下の珠(1珠)が1つ梁にくっついています。
  • 7は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついていて、梁の下の珠(1珠)が2つ梁にくっついています。
  • 8は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついていて、梁の下の珠(1珠)が3つ梁にくっついています。
  • 9は、梁の上の珠(5珠)が梁にくっついていて、梁の下の珠(1珠)が4つ梁にくっついています。

上記を見てわかるように、

  • 0と5の梁の下の、梁にくっついている珠の数は0個
  • 1と6の梁の下の、梁にくっついている珠の数は1個
  • 2と7の梁の下の、梁にくっついている珠の数は2個
  • 3と8の梁の下の、梁にくっついている珠の数は3個
  • 4と9の梁の下の、梁にくっついている珠の数は4個

となっており、下の珠が4つしかないので、5以上の数、すなわち、5、6、7、8、9を表すときは梁の上の5珠を使います。

このそろばんの数字の表し方は、5進数を使った方法です。



5.そろばんの足し算引き算

5.1.そろばんの足し算引き算=そろばんの加減算

上記で見てきたように、梁の上に5珠が1つ、梁の下に1珠が4つあるそろばんでの数字の表し方は、5進数と10進数を混合した方法でした。

そのため、そろばんの足し算引き算では、同じ数を足す場合でも、

  • 繰り上がり・繰り下がりがない場合
  • 5進数の繰り上がり・繰り下がりがある場合
  • 10進数の繰り上がり・繰り下がりがある場合

の3つの場合を覚える必要があります。

そろばんの世界では、足し算引き算を合わせて加減算と言います。

5進数の繰り上がり・繰り下がりがある加減算では、5という数字の合成分解の概念を理解する必要があります。
同様に10進数の繰り上がり・繰り下がりがある加減算では、10という数字の合成分解の概念を理解する必要があります。

5.2.繰り上がり・繰り下がりのない足し算引き算=合成分解のない加減算

そろばん塾に入って最初に習う計算の方法は、この繰り上がり・繰り下がりのない足し算引き算、すなわち、合成分解のない加減算です。

子どもたちには、まず、0~9がそろばんの盤面でどのように表現されるかを教えます。
また、このとき、併せて、0~9をそろばん上に置く運指(指使い)も教えます。

0~9をそろばん上に置く運指は、以下です。
なお、このブログでは、右手だけでそろばんを操作する運指の説明をします。

  • 1、2、3、4
    梁の下の珠(1珠)だけで作られる数である1、2、3、4を置く場合は、親指の腹で必要な数の1珠をまとめて1回で押し上げて梁に付けます。
  • 5
    梁の上の珠の5珠だけで作られる数である5を置く場合は、人差し指の腹で5珠を押し下げて梁に付けます。
  • 6、7、8、9
    梁の上の珠の5珠と梁の下の珠(1珠)で作られる数である6、7、8、9を置く場合は、人差し指の腹で5珠を押し下げ、同時に、親指の腹で必要な数の1珠をまとめて1回で押し上げて梁に付けます。
例1:3を置く

例2:5を置く

例3:7を置く

5.2.1.繰り上がりのない足し算=合成分解のない加算

そろばんのある桁について、その桁が表す数Aに数Bを足したいとき、数Aの軸で使っていない、すなわち、梁に直接または間接的にくっついていない珠だけを使って、数Bを作ることができれば、繰り上がりなしに足すことができます。

例えば、数Aが2、数Bが6のとき、数Aの使っていない珠は5珠が1つと1珠が2つなので、使っていない珠だけで6を作ることができるため、2に6を足すことは繰り上がりなしで可能です。

合成分解のない加算の運指は、最初に数をそろばんに置くときと同じ運指になります。

5.2.2.繰り下がりのない引き算=合成分解のない減算

ある桁について、その桁が表す数Aから数Bを引きたいとき、数Aで使っている、すなわち、梁に直接または間接的にくっついている珠だけを使って、数Bを作ることができれば、繰り下がりなしに引くことができます。

例えば、数Aが8、数Bが6のとき、数Aの使っている珠は5珠が1つと1珠が3つなので、使っている珠だけで6を作ることができるため、8から6を引くことは繰り下がりなしで可能です。

合成分解のない減算の運指は、以下です。

  • 1、2、3、4を引くとき
    梁の下の珠(1珠)だけで作られる数である1、2、3、4を引く場合は、人差し指の腹で必要な数の1珠をまとめて1回で押し下げて梁から離します。
  • 5を引くとき
    梁の上の珠の5珠だけで作られる数である5を引く場合は、人差し指の爪で5珠を押し上げて梁から離します。
  • 6、7、8、9を引くとき
    梁の上の珠の5珠と梁の下の珠(1珠)で作られる数である6、7、8、9を引く場合は、人差し指の爪で5珠を押し上げ、同時に、親指の爪で必要な数の1珠をまとめて1回で押し下げて梁から離します。

5.2.3.合成分解のない加減算の習得の目安

そろばんには、各種団体が主催する検定試験があります。
近年では、細かい段階ごとに級が定められているので、これを習得の目安にすることができます。

例えば、社団法人 全国珠算教育連盟の珠算検定試験15級は、合成分解のない加減算だけが範囲の級です。
1桁4口の加減算が15題の、見取り算問題Aと見取り算問題Bがあり、それぞれ制限時間が7分、A、Bともに150点満点の100点以上を取れれば合格です。
毎月1回試験は実施されますが、基本的には連盟に所属している先生に師事している場合のみ受けられ、そうでない場合は、所属している先生を探して受験を相談することになります。

ちなみに、受験料は600円です。

参照サイト:社団法人 全国珠算教育連盟 :珠算検定試験 (2021年9月30日現在)
https://www.soroban.or.jp/exam/shuzan/

6.おまけ

大人が自己学習するのであれば、特に2桁の級(15級~10級)の間は、あえて検定試験を受けなくても、インターネットなどから15級用の問題集(数百円程度)を取り寄せ、時間を計りながら問題を解き、制限時間内に合格点を超えるようになれば、習得したと判断し、次のステップ(次の級の内容)に移るので全く問題ないです。

大人であれば、9級から4級も特に検定試験を受けなくとも自学自習で習得できると思います。

一方、子どもの場合は、どんな級でも検定試験で合格すれば賞状をもらえたりもしますので、モチベーションアップのために下の級から受験することをお勧めします。

下の級の検定試験は、広く公から申し込みを受け付けることはほとんどなく、検定試験実施団体に所属するそろばん塾の先生が自身の教室を会場として実施することが多いので、下の級の珠算検定を受験する一番簡単な方法は、そろばん塾に生徒として通うことです。

3級くらいになると、個人で申し込んで受験できる日本商工会議所の検定試験などがあります。
なお、3級以上は曲がりなりにも履歴書に書けるので、そこまで学習を進めたのならば、大人も含む誰でも検定試験は受けた方が良いでしょう。
そこまで、独学でステップを踏んで取り組むことができる大人の方以外は、そろばん塾に通ってそろばん学習をするのが一般的です。

検定試験の問題以外にも、同じ屋根の下に暮らす親と子がマンツーマンで教え/教えられる関係になると、親も子も煮詰まっても逃げ場がなくなると言った問題もありますし、子どもは大勢の子ども同士の中で切磋琢磨して伸びることもあります。
親からそろばんを教えられ煮詰まった子どもであった私からのアドバイスとして、ご自身のお子様のそろばん学習はそろばん塾に任せることもご検討いただければと思います。

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