ご存知のように、政府の成長戦略に伴い、学校でのプログラミング教育について、次の学習指導要領の改訂の年である2020年からの実施内容が、文部科学省の設けた有識者会議で検討されています。
これに伴い、IT企画研究所では、お母さん、お父さんご自身のプログラミング学習をお勧めします。
この記事では、その3つの理由をお話しします。
【目次】プログラミング学習を、子供のために、親が今すぐ始めると良い3つの理由
理由1.「プログラミング的思考」が理解できる
理由2.“うちの子”へのプログラミング教育を検討する材料が手に入る
理由3.子供と同時期にプログラミング学習を始めると、親が遅れを取る可能性がある
まとめ
理由1.「プログラミング的思考」が理解できる
学校でのプログラミング教育について、平成28年4月19日 産業競争力会議 文部科学大臣プレゼン資料の「『次世代の学校』(2020年から新しい教育課程が順次実施)」では、「プログラミング教育については、小学校における体験的に学習する機会の確保、中学校におけるコンテンツに関するプログラミング学習、高等学校における情報科の共通必履修科目化といった、発達の段階に則した必修化」となっていましたが、「平成28年6月16小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」では、指導要領にプログラミングのための教科や学年などは特に指定せず、学校の裁量でプログラミング的思考を教育していく方向にした模様です。
プログラミング的思考とは、“コンピュータの働きを理解しながら、それが自らの問題解決にどのように活用できるかをイメージし、意図する処理がどのようにすればコンピュータに伝えられるか、さらに、コンピュータを介してどのように現実世界に働きかけることができるのかを考えること”で、“そのためには、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力”であると、文部科学省の上記6月16日の資料にあります。
この「プログラミング的思考」は、プログラミングを行う過程を抽象的に説明しているようなところがあり、高校や大学の授業で、または、仕事や趣味などでプログラミング学習の経験のあるお母さん、お父さんは、少なくともプログラミングとは何かを身をもって知っているので、上記資料で説明されている「プログラミング的思考」の説明文は、読めばなんとなく理解ができるのではと思います。
一方、プログラミング学習の経験のないお母さん、お父さんの多くは、プログラミング自体がどのようなものか具体的にわからないので、上記資料の「プログラミング的思考」の説明では、抽象的過ぎてわかりにくいのではないかと思います。
百聞は一見に如かずです。
プログラミングを経験して「プログラミング的思考」を理解してみませんか。
参考サイト:文部科学省
※小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
(平成28年6月16小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成と
プログラミング教育に関する有識者会議)
参考サイト:ベネッセ教育情報サイト
小学校のプログラミング教育、なぜ扱いが学校の裁量に?
理由2.“うちの子”へのプログラミング教育を検討する材料が手に入る
子供に対するプログラミング教育の良い点/悪い点(役に立つ/役に立たない、簡単/難しい、など)については、少し調べれば、様々な意見を見つけることができます。
参考になる有識者の意見も多いのですが、プログラミング学習の経験のないお母さん、お父さんには、意見を聞いただけでは実感としてわからないことがたくさんあると思います。
子供の性格を知り尽くしたお母さん、お父さん自身がプログラミング学習を経験すると、プログラミング教育に対する独自の意見ができ上がり、その結果、有識者の一般的な意見をそのまま利用するのとは違った、“うちの子”一人一人に合ったオーダーメイドの教育方針をお母さん、お父さんが用意できます。
とは言え、“うちの子”一人一人に合ったオーダーメイドの教育方針を導き出すのは一見難しそうに思えます。
ところが、自分の学習経験をベースに、さらに、自分が良く知る“うちの子”を思い浮かべて、次のような問いを眺めると、自分なりの回答と理由を、あまり深く考えることなく自然に持つことができると思います。
・この子にとって、プログラミングを理解することは、難しそうか、否か
・この子にとって、プログラミングのためのPCの操作は、難しそうか、否か
・この子に、プログラミング的思考は、できそうか、否か
・プログラミング教育は、この子の問題解決能力向上に、役に立ちそうか、否か
・プログラミング教育は、この子の論理的思考力向上に、役に立ちそうか、否か
・プログラミング教育は、この子のコミュニケーション力向上に、役に立ちそうか、否か
・プログラミング教育は、この子のその他人間形成面などで、役に立ちそうか、否か
・プログラミング教育は、この子の将来の就職に、役立ちそうか、否か
・人工知能など、ITはどんどん進歩している中、それでも学校でのプログラミング教育が、この子に役に立ちそうか、否か
・この子に学校以外で、プログラミング教育を受けさせる必要がありそうか、否か
これらの結果をまとめて検討すれば、オーダーメイドの教育方針を作ることができます。
理由3.子供と同時期にプログラミング学習を始めると、親が遅れを取る可能性がある
日本では1990年代後半以降生まれの世代を、生まれたときからIT(デジタル機器やインターネット)に囲まれて育った世代なので、デジタルネイティブと言います。
対して、それ以前に生まれた世代を、人生の途中からITに触れた世代なので、デジタルイミグラントと言います。
2014年生まれの子(2020年に小学校1年生、一部2年生)のデジタルイミグラントであるお母さんは、厚生労働省の平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況によると、98.7%、990,527人です。
一般的に、デジタルネイティブはデジタルイミグラントと比較して、ITに関する理解力も操作に対する対応能力も非常に高い傾向があります。
子供向けのプログラミング言語を、デジタルネイティブである小学1年生と、デジタルイミグラントであるその親が一緒に学習し始めた場合、子供の方が親よりも速く理解してしまう場面も往々にしてあり得ます。
それもまた楽しくうれしいことではあると思いますが、親の威厳も保ちたいと考えると、少し困ったことでもあるかもしれません。
だから、お母さん、お父さんは、子供より先に、こっそり、プログラミング学習をはじめておきませんか。
参照サイト:KDDI Research Institute
第19回 生まれたときからインターネットがある世代「デジタルネイティブ」
KDDI総研 寺田真一郎
■デジタルネイティブとデジタルイミグラント
参照サイト:コトバンク
デジタルネイティブ
参照資料:厚生労働省
平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況
統計表 第4表 母の年齢(5才階級)・出生順位別にみた出生数
(3)母の年齢(5才階級)・出生順位別
まとめ
2020年には、東京オリンピックの開催も予定されています。
お母さん、お父さんは、早めにプログラミングを学習し、2020年までには、子供のプログラミング教育への対策を済まして、家族でオリンピックを余裕で楽しめるよう、計画されてはいかがでしょうか。
IT企画研究所では、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)のライフロングキンダーガーテングループが開発した子供向けプログラミング言語 Scratch(MITのScratchコミュニティーサイトから無料で配布されていて、誰でも利用できます)でのプログラミング方法などを、ブログ記事やYouTube動画などを使って、無料で大人の方向けに説明しています。
プログラミング学習の経験のないお母さん、お父さんは、IT企画研究所のブログ記事やYouTube動画などを利用して、プログラミング学習を手軽に始めてみてはいかがでしょうか。
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